穂高2日目
前穂高岳

今回のハイライト、前穂登山の朝を迎えます。空はスッキリ澄み渡り、風もなく絶好の山日和です。ヒュッテの朝食は早い者勝ち。6:00開始の予定は、早くから人が待ち始めた為、5:50からスタート。6:00と思ってお散歩に出てた人は、出遅れて第2回目になってしまいました。6:20 テラス集合。予定より30分早く、6:30に出発です。出発を早めたのは朝食が早かったから、だけではなくもう一つの理由が・・。実は本日放送のNHK BS2の「お〜い、ニッポン、今日はとことん長野」の岳沢中継に、ヒュッテのお客さんとして出演してほしいと云われているのです。チェックインの際、ヒュッテの方に頼まれ、昨夜はみなさん、自宅や友人宅に電話しまくってビデオ録画なんぞを頼んでたんですね。昨夜の夕食後、男性陣は総勢20人と云われる、中継スタッフの方々とお酒を酌み交わして、ぐっとお近づきにもなり、是非協力してあげようとなった訳です。下山予定は14:30ですが、中継が3時頃と聞き、それなら早めに降りて来て、テレビに映るんなら衣装換えもせなあかんし〜と、すっかりその気になっている我がメンバーです。

かもしか立場から6:30 ヒュッテ出発。ガレを横切ってキャンプ場を抜け、しばらくは草つきの道を上がります。簡単に「草つきの道」と云っても、ここはもう標高2200m。ジグザグ道の足元は、これから迎える岩稜の兆しが既に現れています。浮石に気をつけつつ、ぐんぐんと上って30分、ひとまず休憩。「ここまでは楽チン、これからが大変なんやぁ」 確かに行く手には岩場の連続が待ち構えています。一岩越えるごとに、高度を稼ぎつつ攀じ登り、這い登りして30分、ちょっと開けた所に出ました。「カモシカのお立場」です。ここからの眺めは何もさえぎる事なく、上高地から穂高連峰が一望のもと。動物というものは大したもので、身の安全の為に、すべてを見渡せる絶好のポイントをちゃんと押さえているんですね。今回は立ったまま休みましたが、ちょっと腰を落としてカモシカの目線に合わせれば、また違ったものが見えたかも知れません。

さて、カモシカの気分になった所で先に進みます。そろそろハシゴや鎖のおハシゴを使って紀美子平へ世話になる頃です。例会ではあまりお目にかからない代物で、出発前からちょっとビビっていたのですが、ここでリーダーのありがた〜い一言。「鎖やハシゴがあるから、安全なんや」 ハ、ハァー、お説ごもっともでございますぅ。ハシゴの経験のないメンバーは事前に「家で脚立にでも上って、練習しときや」などと云われていたのですが、ひるむことなく無事通過。やっぱり、脚立トレーニングが効いたんやろか。

最後の一登りで、8:10 岳沢パノラマに到着です。下を見ればずい分高い所にあがって来たもんだと実感させらパノラマ手前の急登れ、上を見ればまだまだこれからか〜と実感し、それでも岩登りはこれで一段落といわれ、半信半疑ながら少し、ホっとします。

再び歩き始めて8:45 雷鳥広場を過ぎ、又もや現れたハシゴを上り、最後に足がかりも何もない一枚岩を付けられたクサリを頼りによじ登って(さっき一段落なんて云うんたんは、誰や〜!)、9:40 紀美子平に到着です。 

ここからはザックを置いて、空身で前穂山頂を往復します。下山の事を考えて体力温存の為、ここで荷物番をかって出た一人を残し、見上げるほどの岩稜に取り付きます。え〜い、ここまできたら勢いだ!とばかり、目印のペンキ山頂へ空身でを辿って、がむしゃらに登ること30分、10:10 前穂高岳山頂(3090m)に到着です。

360度のパノラマ、遠くに富士山の頭も見える程の見晴らしの良さに、しばらくそれぞれが、好きな方向を向いてこの絶景を楽しみます。何を背景に撮って良いか迷ってしまいますが、とりあえず奥穂高岳をバックに記念写真です。         

穂高の常連さんでしょうか、無駄のない装備で奥又白池を見下ろしながら、10時のティータイムを楽しんでいらっしゃる方の傍に、イワヒバリがチョンチョンと寄っては、そのおこぼれを頂戴していま前穂高岳山頂す。そう云えば紀美子平に上る途中でも、ピチュピチュというヒバリのさえずりが聴こえていましたっけ。

15分ほど、3000mの空中展望台を満喫して、紀美子平に下ります。傾斜がキツイほど、行きはよいよい、帰りはコワイ・・となる訳で、普通下りの時間は上りより短いはずなのに、上り以上に時間をかけて紀美子平に下り着きます。途中の岩場には、赤黒い染みが点々とあり、すれ違った人が昨日ここで死亡事故があったと言って怖がらせてくれますが、後で長野県警山岳遭難救助隊のホームページを見ると、滑落はしたものの軽傷だったようで紀美子平へ下る、他人事ながら一安心です。

お留守番をしてくれていたメンバーは、見渡す限りの錦秋を1時間も独り占めできて、もう一生こんな時間は過ごせないなぁ、と思うととても贅沢な気分にひたれたと、山頂は踏めなくてもそれはそれで、大満足のご様子。サミットハンティングばかりが山登りではなく、こんな優雅な山登りも良いもんですね。緊張で忘れていましたが、けっこうお腹も空いています。私たちもヒュッテのお握り弁当と、そしてこの優雅な時間をゆっくり味わいましょう。

紀美子平から下山開始先ほどより、下からちょっと霧が立ち上って来ています。さぁ、あとはテレビ出演が待っています。遅れないように下山開始です。11:30 紀美子平を出発。リーダーより手袋を外して素手でしっかりホールドを確認して下りるようにと、指示が飛びます。11:45 雷鳥広場を通過。12:15には、岳沢パノラマに到着です。テレビというモチベーションはかくも強いものかと我ながら感心いたします。

12:50 カモシカのお立場を過ぎてしばらく進めば、岳沢ヒュッテの屋根が見え隠れして来ます。13:45 岳沢ヒュッテに到着。とりあえずは無事下山を祝してテラスでかんぱ〜い!月曜に仕事のあるリーダーは、このまま上高地に下りて帰宅の途につきます。上高地の標高が約1500mですかヒュッテで乾杯ら、3090mの前穂高岳から実に1500mもの標高差を、一気に下りてしまうことになります、あ〜、もったいない!ここでリーダーのあんまりありがたくない一言。「誰か下まで見送りに来てもらおうかな〜」・・・・・・(無言) 14:00過ぎ、じゃぁ、リーダー、お気をつけて〜と皆で、盛大に手を振ってお見送りです。

折りしも反対側のテラスでは、中継のリハーサルの真っ最中。こちらも部屋に引き上げてお色直しを致しましょう。ちょっとリハーサルしますから、とお呼びがかかり、その気になっている我々は、テルモスやらドリップコーヒーやらを手にして、いかにも下山後のコーヒータイお〜い、ニッポンリハーサルムで憩っています、、と自らを演出し用意万端、その時を待ちます。

岳沢からのレポーターは長野出身の落語家、立川談慶さん。3時、中継が入ります。「みなさん、どこからですか?」「大阪で〜す!」「そうですか、大阪のどちら?」「神戸で〜す!」 全国放送なのに、こんなマヌケ(政治的意図はございません)な答えをしてすみません。生放送なのでこの時は分からなかったのですが、後でビデオを見ると、スタジオの人に「神戸は兵庫でしょ」としっかり突っ込まれていました。

わずか2〜3分の出演でカメラはヒュッテの中に入り、出演終了。夕食までには時間があるので、ヒュッテの方に聞くと、ヘ天狗沢入り口リポートまで行けば天狗のコルあたりの紅葉・黄葉が又違った趣きを見せてくれると教えてくれたので、ちょっと見に行く事にします。トイレの前を通ってヘリポートに着くと、天狗のコルばかりでなく、岳沢の黄葉も見事に見渡せ、まさに絶景かな、絶景かなの情景です。こちら側は天狗のコルへの登山口があるだけで、かなりの上級者でないと入り込まない穴場。思わず記念写真です。

夕食後は、またまた「お〜い、ニッポン」のエンディングに皆さんで手を振ってくださいと云われ、再度のご出演。長野では別れの際にバンザイをしてから手を振るという習慣があるとかで(ホント?)、バンザイ・バンザイ、さよなら〜とカメラに向かって手を振ります。これも後からビデオで見ると、中にはテーブルの上に乗り出すようにして手を振られる方のお姿が・・。ビデオの完全版がないのが、悔やまれます。どなたかお持ちの方、会の永久保存版にしますので、お貸しください。

エンディング終了と共に、「ハ〜イ、終わりましたぁ」の声で、ヒュッテの中は拍手とお疲れ様の掛け声で盛り上がります。その頃外では、前穂からのパノラマと穂高の黄葉を充分堪能したのを、待ってたかのように、静かに雨が降り出しています。






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