北八つ逍遥 池編
白駒から渋の湯へ

2日目の朝は、雲一つないすっきりと晴れ上がった紺碧の青空です。今日の行程は時間的に余裕があるので、朝食もゆっくりと7時にいただきます。当初はこれまたグズグズと過ごして8時に出発を予定してましたが、あまりのお天気に中に居る麦草の霜柱のが勿体無く、三々五々ザックを持って外に出ます。お仕事の都合で、このまま帰られるメンバーに見送られ、7:30 先ずは朝の白駒池へ向かいましょう。

ヒュッテ裏手の麦草園地から白駒へ延びる道の足元には、最近都会ではついぞお見かけしない、たくましい霜柱がしっかりと立っています。ちょっとやそっとの人数が踏んでも、ビクともしない霜柱は圧巻です。

ザクッ、ザクッと踏みしめて麦草園地を過ぎると、朝日が射し込む林の中に道は続きます。ツガ、モミ、シラビソ等の樹の根元や倒木はビロードのような光沢をたたえた苔でびっしりと覆われ、陽が当るといっそうその光を増しています。

箱庭の中を白駒へしばらく静かな森の中を行くと木道となり、先に進むにつれ周囲はまるで日本庭園のような景観に変わります。今までの鬱蒼とした原生林とはまた違う、低木と岩が織りなす明るい庭です。

庭園散歩を15分ほど楽しむと道はまた森の中に入り、高見石小屋へ向かう道との十字路を過ぎると、8:00 白駒池に到着です。ヒュッテでは和食が続き、そろそろコーヒーに飢えて来たメンバーには、池のほとりでいただくモーニングコーヒーが待ち遠しく、出発してわずか30分ですが、神秘的な池を眺めながらのコーヒータイムに致しましょう。

白駒池白駒池は標高2100b以上では日本最大の天然湖だそうで、池の周囲を大きな樹々がぐるりと囲んでいます。紅葉の時期はさぞかし水面に映えてた事でしょう。でも、落葉が水面に浮いている朝まだきの湖も燃え尽きた後の清々しい美しさを感じさせてくれますね。あ〜、凛とした空気の中、熱いコーヒーが五臓六腑にしみわたるぅ〜。

池には遊歩道があり、40分ほどで1周できるそうですが、しばらくはこのまま神秘的な風景を楽しみましょう。

白駒荘のベンチーヒーを頂いている場所は、白駒荘の前にあるベンチで、この朝の湖を一人占めしたかったら、ここにお泊まりするのが良いかもしれません。

太陽も段々と高くなり、張り詰めた朝の空気も少し和らいで来ました。コーヒーのお供に、少々甘いものを頂いたらそろそろ出発致しましょう。ここでゆっくりしたので、やはり遊歩道での1周はやめ、8:30 白駒荘を少し過ぎた所から高見石への登りに入ります。

ゲストのお一人が以前ここを小学生のお子さんと歩いたと聞いてたので楽勝かと思いきや、道には大小の岩がゴロゴロとしてる上、坂も結構キツイ!家族登山の後、「これからは山はお母さん、一人で行ってね」と見放された・・というのも頷けます。最初からこんな所歩かせたらアカンで〜。

高見岩から白駒池を望む時々ちょっと離れた後続を待つ程度の休憩とはいえない休憩を挟んで、9:20 ようやく高見石小屋に到着です。裏手に巨岩が積み重なった高見岩があり、小屋のテラスにザックを置いて岩を攀じ登ります。

岩と岩との段差がかなりあり、下りるのが怖いな〜と思いつつ岩の高みに立てば、先ほどの白駒池が眼下に広がる一面の緑の中にポッカリと浮かび、目を移せば北八ヶ岳の山々から右手にはデンと鎮座している中山が迫り、これを越えれば天狗岳へと続きます。

段々と他のパーティーも上がって来たので、こちらはそろそろ降りる事にしましょう。岩と岩の間に結構な隙間があり、こんな所で転んではご休憩中の他のグループの注目の的になってし賽の河原まいます。慎重に下りてテラスでちょっと一休み。見てると若い青年達は岩をポンポンと飛ぶ様にして下りて来るじゃないですか。オバサン達は目をハートにして、そのまま中山方面へと消えていく若者の後姿を見送ります。はぁ〜、若いって良いわね〜〜。

さっ、気を取り直して先に進みましょう。9:50 「お先にどうぞ」とレディーファーストをしてくれるとってもジェントルマンな男性メンバーに促され、渋の湯の道標に従って小屋の横の道を行きます。樹林帯の中を歩くこと約15分、今回のリーダーにしては歴史的最短間隔で休憩です!この先は賽の河原で、ゆっくり休憩する場所がなさそうだし、こういう所は一気に下りてしまおう・・という魂胆の様です。歴史的瞬間を体験したら、いよいよ岩だらけの斜面、賽の河原を下りましょう。

賽の河原通過中よくもまぁ、これだけの岩が集まりました・・と感心ばかりもしてられません。歩き易そうな岩を選んでるとルートを外れそうですし、赤いテープが巻かれた竹竿が道しるべとなって、だだっぴろい斜面の中を誘導してくれます。

途中、お地蔵さんが奉られていて、ここが中間地点くらいでしょうか。段々と草地も多くなって来ました。先程の若者ではないですが、よほど尖って不安定でない限り、岩の頭をバランスを取ってつたい歩く・・といった感じの方が歩き易い様です。

11:00 ようやくゴロゴロ岩も終わり、この大斜面を下から見上げながら休憩しましょう。ヨッコラショ、は〜、しんど。こんな岩だらけの所で転んで頭でも打ったらエライこっちゃと、張り詰めてた気持ちがほっと緩んで、笑顔と笑い声が響きます。

カモシカ遭遇さぁ、後は温泉が待っています。あともう一踏ん張り歩きましょう。落ち葉を踏みしめながらの樹林帯歩きは心地よく、良い気分で歩いていると前の方がザワザワと何やら騒がしいですね。えっ、「クマ」という言葉も聞こえます。く、くまぁ〜?!

いえいえ、カモシカでした。冬毛なのか黒い毛に覆われているので木立の中で一瞬クマに見えた様です。しばらくこちらを伺っていた様ですが、子連れらしく人間の数が多いと見ると踵を返して森の中に消えていきます。

遅れてやって来たメンバーは話を聞くばかりで姿形も見られませんでしたが、いやいや、残り者には福がある。枯れた沢を渡っていると丁度頭の上、お立ち台の様にせり出した岩場にヒョッコリ先程の親子が姿を見せます。

カモシカさん呑気に木の葉を食む子供を守るのか、親シカがグイっと乗り出す様にしてこちらを見下ろしています。カメラを構えるのに必死な人間様を見る目は、いざとなればここから頭突き・飛び蹴り食らわせるぞ・・とでも云いたそうな警戒と挑戦的な光をたたえ、さすが野性を感じさせてくれます。でも、撮影者いわく「横向いてるけど、カワイイ・・・」 「元気で生きるのよ」と声をかけてカモシカさんとはお別れです。

11:40 先に休憩に入っていた先行組に合流して後行組の自慢話です。急ぐばかりが山歩きじゃないですよね、、ホホホ。

階段状になっている道を下りていくと、硫黄の臭いが漂い、渋の湯温泉の赤い屋根が下に見えてきます。先程の賽の河原から続き歩幅の合わない階段状の道で、足もかなり疲れて来ました。12:30 さぁ、温泉です!ところが、やはりここは山奥の秘湯、お風呂は入れても昼食は出来ないとのこと。こ〜らぁ、幹事、ちゃんと調べんか〜い!!へい、すんまへん・・次回は必ずお昼ご用意致します。という訳で、近いうちにもう一度この辺りに出没しそうな予感を残して、北八ヶ岳、森と池の静かな逍遥行は終わろうとしています。それでは、また来年・・かな!?



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