白山
どこが観光?新道

7:50 御前峰からビジターセンターを突っ切って、弥陀ヶ原に一直線に延びる道を辿ります。五葉坂の石の階段を下って入った弥陀ヶ原は、木道敷設工事の真っ最中。そう言えば宿泊していた御前荘には他に登山客らしい宿泊者は居ず、靴置き場にはヘルメット、乾燥室には作業服がかかっていました。この工事の作業員さん達が泊まられていたのでしょうか。作業を終えて宿に帰るには、あの五葉坂を上がらなければならないはず。思わず作業中の横を通る時に、「ご苦労様です」と声を掛けてしまいます。

黒ボコ岩から振り返る夏ならば見事なお花畑なのでしょうが、この時期は草紅葉にも少々早く一面に広がる緑の中を、木の香りが立ち昇る真新しい木道を歩いて進みます。

8:15 もう少し遠いと思っていた黒ボコ岩に到着。「なんや、意外と近かったんや」とちょっと拍子抜けです。ここは砂防新道と観光新道の分岐点になり、お休み処に考えていたのですが、あまりにも近かったのでその案は却下。殿ヶ池避難小屋まで一気に下りることにします。

観光新道は岩の右側ですが、工事用材料がデーンと岩の左側に置いてあり、左手の方が開けていることもあって、何となく左の道を取ってしまうのが人間の不思議な心理行動。フラフラと左の砂防新道に行ってしまいそうなメンバーを「こっち、こっち」馬のたてがみと呼び止めて右手の観光新道を下りて行きます。出合までは標高差1000m!頑張って歩きましょう!!

8:25 蛇塚を通過。大小の岩がゴロゴロしている道は傾斜もあって少々歩き難いですが、尾根道なので左手に別山、正面に荒島岳でしょうか、360度の雄大な山、山、山の連なりは、さすが白山!の一言に尽きます。しばらく進むと「馬のたてがみ」の標識が現れ、ずっと向こうの山腹には砂防新道のお休み処、甚ノ助小屋が見えます。

視線を観光新道に向ければ、眼下にポチッと浮かぶのは殿ヶ池小屋の赤い屋根。この時は小屋までかなり距離があるように思いますが、道が急なのであっという間に高度を落として行きます。ここが「飛ばし屋」向きの観光新道下りと言われる所以なのでしょう。

もうすぐ殿ヶ池小屋8:50 尾根を外れて樹林帯の中を通り、殿ヶ池小屋に到着。室堂を出た辺りから前後している御夫婦が小屋前の池の畔でゆっくり腰を下ろし、小さなラジオで浪花節を聞きながら寛いでいられます。こちらも小屋に入って大休憩です。小屋の裏側では、コーヒーを沸かしている青年が一人。この青年もこの後、前後して歩くようになりますが、結局別当出合までこの3組が下りの観光新道を独占していた様です。

2488mの室堂からここまで下りてくると、大分体感温度も上がってきます。1枚脱ぎ、2枚脱ぎで衣服の調整を済ませたら、出発しましょう。

観光新道の下り小屋を出ると、これから歩く稜線が延々と続いているのがよく見えます。「まだまだ、下るんやね〜」と改めて実感。上の方はお花は終わりでしたが、この辺りはまだマツムシソウやたまにイワカガミ等も顔を見せ、なによりリンドウの群生が眼を楽しませてくれます。

この観光新道は、先にも出てきた僧泰澄が開いた道の一つ、越前禅定道の一部で、本来の禅定道は別当坂分岐で出合方尾根筋で休憩面との道と別れ、慶松平から市ノ瀬まで続きます。禅定道(ぜんじょうどう)とは登拝路のことで、平安時代後期には、この越前の他に加賀、美濃からの禅定道があり、それぞれ今でも白山への登山コースとして使われています。

さて、この古い歴史を持つ観光新道ですが、「観光」という響きで何となく遊歩道的な道を想像しますが、ナントナント、初心者にはあまり向かないという説が多いようです。

確かに「どこが観光やねん?!」と突っ込みたくなるような勾配のキツサと岩だらけの道なので、雨でも降ったらこの坂を下るのはちょっと恐いなぁ。でも、殆ど尾根歩きなので眺めは最高仙人窟です。その意味では充分「観光」という名に相応しい道です。

9:45 殿ヶ池小屋から見えた狭い尾根道で、片寄せあって休憩です。ここまでは、まぁまぁスッキリとしたお天気で緑の中に浮かぶちょっと早めの錦模様を楽しみましたが、下から徐々に上がって来た雲がその光景を隠してしまうのが残念です。

すぐ先には、仙人窟と呼ばれる大岩のトンネルがあり、くぐって良く見ると上下の岩がホンの一部だけで支えあっています。上からゴロゴロと転がってきた大岩が、ゴンとぶつかって止まってから千年近く、お互いを支えあってこの形を保ってきたのかと思うと、岩ながらいじらしい・・。

別当坂分岐から慶松平時々短い上りを挟みながらも、交互に現れる岩の道と階段を辿って下り続けます。10:10 別当坂分岐を通過。ここで本来の越前禅定道とはお別れです。出合まで2`という標識にようやくここまで来たかという思いですが、実はここから先の坂が一番キツイんですね。どの地図を見ても急坂・通行注意と書かれ、そろそろ膝が「もう勘弁してくれぃ〜」と悲鳴をあげそうです。

分岐から転げ落ちるような坂を一気に下って、10:30 疲れた足を休ませる為にちょっと休憩です。大分膝がガクガクになって来ました。ここで転んだらガツンと岩に頭を打つのは確実です。「え〜、また階段?!」とウンザリするくらい出現する階段をゆっくり慎重に下りて行きましょう。

別当出合11:10 新しく敷設工事が進行中の林道にぶつかって一旦登山道が途切れます。「観光登山口」と大きく書かれた標識と、「お疲れ様でした」と何故かフツーのお子様のスナップ写真が貼られた手作り標識が迎えてくれます。それにしても、この男の子は誰??林道を横断して向いに続く山道を下って行くと、11:30 本当にお疲れ様でした。別当出合に到着です。

ここには駐車場の他に売店(今日は閉まっていますが)、休憩所、外には大きなテーブルが並び、浪花節の御夫婦やコーヒーの青年が既に到着済みで、昼食の準備に余念がありません。立派なトイレはボタンを押すと、便器の中ではなく床の両側から水が溢れんばかりに流れ出るという、不思議な構造になっていて、ちょっと驚かされます。

りんどう昼食はもう少し下った白峰温泉の民宿で、お風呂付きでいただくことになっているので、砂防新道への入口である吊り橋の前で記念写真を撮ったら、バスの待つ駐車場へと急ぎましょう。

一面のお花畑の季節は終わり、紅葉にはちょっと早い時期でしたが、秋雨前線停滞で人の足が遠のいたのか、静かな白山を楽しむ事が出来て何より何より。百花繚乱とはいかなくても、岩の間でしっかりと咲く秋の花、リンドウの群生に山のお花の逞しさを感じた、秋の白山でした。

元々お味噌の醸造屋さんだった民宿の昼食は、山菜あり地元のお野菜あり、そして自慢のお味噌汁はお代わりをお願いするほど美味。 はぁ〜、メデタシ、メデタシ。


今日のお時間(朝食後〜)

7:50 室堂ビジターセンター − 8:15 黒ボコ岩 − 8:50 殿ヶ池避難小屋(大休憩) −(休憩1回)− 10:10 別当坂分岐 −(休憩1回)− 11:30 別当出合駐車場





平瀬道上りへ

トップページへもどる