山の一品

時(とき)

明けました



2003年1月1日午前零時零分から、また1年を刻む針が進みます。
今年はどの位の時間を、山の中で過ごすのでしょうか。

山行きの記録を残す為に、何分・何時間の単位で
時計をよく見ます。

でも、周りを見れば山の時間はこの何十倍、何百倍の単位で
動いているんですね。

時計



例えば、杉なら200−300年は当たり前、
1000年・2000年の太古杉もあります。

生長の遅いブナは、よく見かけるので50−60年、
これはと思う太さだと200年。

「休憩はまだか〜」と、1時間も歩けばネを上げる人間を、
長い人生(木生?)を送ってきた樹々は
どんな目で見つめているのでしょう。
そうそう、私たちが今歩いているこの地面、数億年前は
海底だったかも知れません。

例えば身近にある六甲山、花崗岩の山として有名ですが、
基は中生代末期に地下深く形成され、
200万年前から始まった地殻変動で、今の高さまで
衝き上げられて来たそうです。

地震や噴火などで山容が変わったり、新たな山が作られるのを
見聞きしますが、
六甲もあの阪神大震災で12センチ高くなったとか。

風化や水害で崩れたり流されたりもしました。
崩壊と隆起を繰り返し、気の遠くなるような時(とき)をかけて、
六甲はここまで這い上がって来ているのです。
山

人間、ガンバってガンバって生きて100年。

その間、様々な想いを抱いて山を歩きます。そして山を下りた時
楽しいこと・嬉しいことが何倍にもなっている?
辛いこと・悲しいことがスッポリ記憶から抜け落ちている?

そ〜んなことはありません。
山は都合の良い魔法の箱ではないのよん。

ただ、山から見ればほんの瞬き程度の短い100年だから
たくさん笑って、たくさん泣いて
最後に、なんかつまらなかったなぁーと思うより
あ〜、面白かった!と思えれば良いですよね?


山は、分から時、何十年から何百年、何千年から何億年の単位が混在する空間。
まさにタイムレスの世界です。


その中を歩く私たちは、さしずめタイムトラベラー
な〜んてね、ちょっとカッコよすぎですかね・・?

         

Photo: S. Izumi
画: kozue


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