昨日の夕陽ショーから一夜明け、鏡のように穏やかな瀬戸内の海を眺めながらの朝食です。テーブルには塩鮭や海苔や佃煮といったこれぞニッポンの朝御飯!が並び、その隣には立派なおにぎり2つが入ったお弁当が置かれています。え〜と、お沢庵以外ホントにおにぎりだけやねんなぁ。お漬物だけじゃ寂しいので、朝食の残りの佃煮なんぞを足してザックに詰めます。向こうでは、「いやぁ〜、こんな大きなおにぎり2つもよう食べられへんわぁ」と、もう1人と1個ずつにして、お弁当1パックを置いていこうとするメンバーが。いや、あの一応持って行った方がええんちゃう?
8:00 宿からタクシーに分乗して本日の登山口、寒霞渓のロープウェイ駅のある紅雲亭へ向かいます。駅のロッカーにお泊りセットを預け、身軽になって 8:50 出発です。 寒霞渓周辺にはいくつかの遊歩道がありますが、今日は表十二景遊歩道(2km)を歩きます。道は簡易舗装されていますが、それなりに勾配がありいつもの事ながら、朝一番の坂は堪えます。
遊歩道からはその名の通り12箇所の雄大な岩の絶景が望める、と登山口の案内板にありましたが、その前に遭遇したのはお猿の軍団。気がつけば道の先やら木の枝やらからいくつものお猿の目に見つめられています。頭上からキャッキャという声が降って来ますが、特に近付くこともなく、人が通り過ぎるのを待っているようです。
と、足元辺りで眼の端をサッと横切るものが。え?と見ると小さな野ねずみが石の隙間に入り込もうとしています。かと思うとまた道路上に出てきたりと何かとお忙しそう。そろそろ冬篭りから外に出てくる頃でしょうか。
お猿や野ねずみの姿が見えなくなると、今度は十二景の番です。矢印に岩の名前が書かれている標識ごとに足を止めます。玉筍峰から始まり女羅壁まで、大きな岩壁であったり、確かに烏帽子にそっくりな岩だったりと、自然の造形美に感心します。ちょんと押せば転がり落ちそうな岩にちょいとイタズラ。あ〜らら、落ちても知らんよぉ。
上ばかり見ていてはいけません。足元にも色々なお花が咲いています。よく似ているのはウラシマソウとマムシソウ、白いイワツメグサも可憐に咲いています。と、前の方で「あ〜っ!」という大きな声が。何事かと近寄ってみれば、雪餅草がすっくと咲いていました。茶道の先生でもあるメンバーによればお茶花で見たことはあるけれど、自生しているのはなかなか見れないとの事で、それならばとカメラマンさんに接写してもらいます。ホントに白いお餅が乗っかっているようですねぇ。
お花を楽しみながら四望頂を目指して上がって行くと、一旦車道に出ます。行く手にはあれが四望頂と思しき東屋が建っています。えっ、ここから車道歩き?と思いますがその手前にちょっと下る道があり、車道に平行して道なり行くと、10:00 さっき見えた東屋に到着です。「四望」というだけあってグルリと一周良い眺めですが、やはり少し霞みながらも遠く四国の山々までうっすらと見える海側の眺めは格別です。さすが日本三大渓谷美と言われる所以です。しばしこの眺めを堪能したら、先に進みましょう。
穏やかな新緑の道を辿ると、10:20 ロープウェイ山頂駅の広場に出て来ました。今までは殆ど人に会いませんでしたが、ここで一気に大勢の一般観光客の方々と遭遇します。ここでかの有名な「一億円のトイレ」を拝借し致します。別に純金張りとかではなく、山の上なので資材上げから始まりなんだかんだで総工費1億円になってしまったとか。ハイ、確かに綺麗でゆったりとした公衆トイレで、有り難く使わせて頂きましょう。お土産さんもちょっと覗いて一息ついたら、10:35 駐車場を横切り、三笠山から星ヶ城山へ続く登山道に入ります。
三笠山の山頂は直ぐ上の広場で、右手の芝の斜面を直登する道と、正面の鳥居をくぐって巻いていく道の二手に分かれます。さぁ、どっちの道を行きましょう、運命の分かれ道(ちょっとオーバー?) まっ、人生にたいした影響もなさそうなので、今日はとりあえず楽そうな巻き道を歩いてみます。10分程で山頂広場ですが、このまま通過します。
途中で一休みして、11:15 星ヶ城神社 の前に出てきます。この山にはかつて南北朝時代に山城が築かれていたそうで、その名残の空濠などもありましたが、この神社は城を築いた佐々木信胤を祀っているそうな。謂れや歴史が書かれている案内板を読んだりして、ちょっと時間が過ぎてしまいました。先を急ぎましょう。
と間もなく、11:20 阿豆枳(あづき)神社がある西峰に到着です。阿豆枳神社は星ヶ城神社のすぐお隣ながら、祀られているのは島の祖神ということで全く別ものです。そろそろお昼かな〜と思っていたら、「まだまだ、頂上やないでぇ〜」のお言葉。東峰がまだ残っていました。
一旦もったいなくも下り、健気に上り返して、11:40 石が積み上げられたケルンのような、でもケルンとは違う変わったオブジェのある東峰に到着。こちらはどうやら五穀豊穣の神を祀ってあるようです。そう広くない山頂付近に3つもお祀りするものがあって、お参りするほうも忙しい。
12:00 再び西峰に戻り、阿豆枳神社の周りでお昼にしましょう。お宿で作ってもらったおにぎり弁当を広げると、朝渡されてから5時間も経っているのにお米がツヤツヤ。頬張れば口の中でホロっと崩れ、更に塩味が絶妙で中には何も入ってないのに、とにかく美味しいのなんの。朝、お釜で炊いています・・と言われていましたが、釜炊きご飯、最強です。お沢庵やついでに入れてきた佃煮と併せ、大きなおにぎり2個がペロっとお腹に入ります。朝、もう1人と1個づつにして、1パック置いて行こうとしたメンバーも、もう1個くらい食べれるわ〜という勢いでアッと言う間に完食。ほらね、持ってきて良かったでしょ?
最後に恒例のコーヒーで〆て、12:35 下山開始です。来た道を戻り、三笠山の山頂広場から今度はさっき通らなかった芝の斜面を直滑降。見た目ほど急な感じではなく、さくさくと降りて5分で駐車場に着いてしまいます、早っ!
ロープウェイは団体さんの貸切り臨時便が出発する所で、次は13:36発。20分ほど時間があるので、もう一度お土産屋さんに入って最後のお買い物をしたり、展望台で最後にもう一度雄大な瀬戸内海の眺めを堪能します。お土産屋さんの向かいにある園芸ショップを覗いてみたら、何種類かの山の植物に混ざり何とあの雪餅草が売られています。山の中で偶然に見つけるから感動するんで、こうやって鉢植えで売られても、何かあまり有り難くありませんねぇ。
展望台の記念碑の前で記念写真を撮っている内に、そろそろロープウェイの改札が開きます。チケットを渡して乗り場で待っていると、来ました来ました、ゴンドラが。こうして見てるとかなりの急勾配のようです。高低差300mほどですが、何せ谷が深くて高所恐怖症の人にはちょっと怖いかも知れません。その分さっき歩いて来た表十二景を谷側から眺める感じで、岩壁が上から下まで一気に見渡せその迫力は圧巻です。
13:40 アッと言う間に紅雲駅に到着です。ロッカーから荷物を出し、看板犬のじろう君に見送られてタクシーで福田港へ向かいます。14:30 福田港に到着。姫路行きフェリーは15:30発なので、ここでも1時間ほど時間が余りました。さっきのタクシーの運転手さんによれば、焼きたてのアナゴ弁当となぜかチョコレートがお土産として人気らしいですが、アナゴ弁当を物色中にその他にも美味しそうな海鮮の炭火焼を発見。お土産探しは止め、店先の椅子で生ビールにイカ焼きやらサザエのつぼ焼きやら豪華あわびの炭火焼やらを食します。
思えば昨日福田港に着いて、オリーブ料理やオリーブ味ソフトから始まり、旬の材料を使ったお宿の夕食、ふっくらツヤツヤの釜炊きオニギリ弁当と続き、トドメにこの海鮮炭火焼きと、山もさることながら食べてばっかり。15:30 フェリーに乗り込み、反省会という名のささやかな宴会で小豆島の旅の最後を楽しむメンバーを乗せ、フェリーは姫路港へと向かいます。
本日のお時間
8:50 紅雲亭 −10:00 四望頂 −10:20 山頂駅 10:35 −11:15 星ヶ城神社 −11:20 西峰 −11:40 東峰
−12:00 西峰 12:35 −13:00 ロープウェイ山頂駅
本日のお風呂 なし